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「採用面接で相手を見抜くための工夫」

 4月からの新年度に備えて、2月から3月初旬にかけてのこの時期は、中途採用の募集を積極的に行っている会社も多いのではないでしょうか。年度末を控えて新規求職者の増えやすい時期でもあり、企業にとっても人材獲得のチャンスだといえましょう。
 
 一連の採用業務のなかでも、とりわけ重要なものが採用面接です。そこで今回は、採用面接を取り上げてみたいと思います。
 
 さまざまな会社で採用にまつわる話を伺うなかで、「前職の輝かしい経歴を見込んで本人希望に沿った高めの給与額を提示し採用はしたものの、基本的な報連相も身についておらず、既存社員ともなかなか打ち解けられないまま1年が経ち、成果も仕事ぶりも今一つ。」というものがありました。実はこのような話は巷にけっこう溢れているようです。
 
 面接官という役回りは、人によって得手不得手がはっきり出るようで、上級管理職だからといって、相手を見抜くのがうまいとは一概には言えません。「面接は最初の30秒が全て」とか、「最初の挨拶で決まる」などといわれます。ベテランの人事(採用)担当者であれば、瞬時に相手を見抜く確かな眼をお持ちかと思いますが、支店長や営業所長など、普段は採用面接に携わることのない幹部社員は、「ハロー効果」のワナに陥りやすいという傾向が認められます。例えば、元気よく大きな声で挨拶したことで、営業員としての素養が十分にあると決め込んでしまうように。
 
 ただ、現実には選考過程にじっくり日数をかける余裕はありません。(あまり相手を待たせると、優秀な応募者ほど他社に先を越されるということにもなりかねません。)限られた時間で、自社にふさわしい人材かどうかを見抜くのは至難の業ですが、それでもしっかりコミュニケーションを図りながら、目の前の応募者に対して興味や関心、共感を示し、その人物像を深堀していくことが肝心です。
 
 そのためには、「これまでどんな職務を経験されましたか?」、「どのような趣味をお持ちですか?」のように、淡々と一問一答の質問を繰り返してばかりではダメです。面接もコミュニケーション。言葉のキャッチボールをしなければ、相手の真の実力は推し量れません。
Q「学生時代、ゼミでは何をテーマに勉強していましたか?」
A「○○教授の環境学のゼミで、地球温暖化問題をテーマに勉強いたしました。」
Q「そうなんですね!わが社もSDGs宣言をしていますが、再生エネルギーに速やかに
  シフトするにはどんなことが必要だと思いますか。」
のように最初の質問から会話を広げていくことをお勧めします。
 
 仮に、うまくその問いには答えられなかったとしても、面接という改まった場でどのように対処できるか、その対応力をみることはできます。一生懸命自分なりの答えを出そうとする姿勢の中に、真面目さ、論理思考、判断力などを見ることができるかもしれません。
 
  人事担当者が採用面接をするときは、さまざまな話題を投げかけて、相手の対応(=実力)を見極めていただくのが良いでしょう。私の経験則からは、一段上から判定しているような雰囲気で接するのではなく、同じ目線で会話を横に広げていった方が相手の個性や人となりがよく見えるように感じます。
所長 大槻 幸雄

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