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「無期転換の個別通知の義務化が検討されています」

 「次の契約更新では無期契約に変えることもできますよ」と有期雇用契約の従業員(以下、有期雇用労働者)に対して会社から個別に知らせることが義務付けられる可能性が出てきています。
 今年3月に厚生労働省の有識者検討会で有期雇用労働者の無期転換ルール(※)に関する報告書がまとめられ、その中で有期雇用労働者に対して、無期転換申込権が発生するタイミングで会社から個別に次の2点を伝えることの義務化が適当であると明記されました。
(1)無期転換の申し込みを選ぶことができること
(2)無期転換した場合の労働条件
 同検討会では、無期転換ルールを知っている有期雇用労働者は4割程度であり、無期転換権がある者のうち実際に無期転換を申し込んだのはその約3割というデータが出されました。つまり、有期雇用労働者の半分以上は無期転換を申し込めることすら知らない状態であると考えれば、無期転換の権利が発生したことを個別に本人に通知することが義務化された際には、無期転換を希望する人数は大きく増えることが予想されます。
 多く会社では、新たに無期転換ルールが導入された平成25年4月の段階で既に十分な対応をされていると思いますが、もしまだの会社があれば、個別通知の義務化に備えて今から準備を進めておくことをお勧めします。無期転換ルールの運用や無期転換後に労働条件が変わる可能性(いわゆる「別段の定め」により雇用契約期間以外の労働条件(配転の可能性など)が変わること)などについて自社の就業規則に明確に記載しておくことはもちろんのこと、無期転換希望者が増えることを見込んで今後の採用計画を立てたり、現在雇用している有期雇用労働者の契約を次回以降も更新するか否かも早めに判断しておく必要があります。
 
 前述の報告書では「権利行使の妨害抑止に繋がるような方策を検討することが適当」とも述べられていますので、法改正が施行される前に駆け込みで大量の雇い止めが発生することを防ぐために、新たな制限が設けられることも予想されます。
 
 有期雇用労働者については、このような法改正も検討されていることを念頭に置いたうえで、関連規程の整備や今後の採用、契約更新のあり方についても再検証していただきたいと思います。
(※)無期転換ルール
 有期労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申し込み
 により、期間の定めのない労働契約に転換できるルール
所員

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