改正育児・介護休業法が4月1日に施行しました。10月1日にも2回目の改正・施行があり、出生時育児休業(通称:産後パパ育休)や育休の分割取得などが始まりますが、その前に4月改正への対応を確実に行っておかなければなりません。
4月改正のポイントは、社員に対して(1)育休取得の意向を(2)個別に(3)確認することを義務化された、ということです。
これまでも、女性社員の場合であれば、会社(上司)も問題なく対応できていたと思います。しかし、これが男性社員の場合になると「(育休について)聞かれるまで黙っておこう」というような消極的な対応を取っていた会社がほとんどではないでしょうか。また、男性社員側も「本当は育休を取って子育てに携わりたいけれど、周りで男性が育休を取得している姿は見ないし、もし育休を取りたいと申し出たら昇進にも影響するかもしれないな…」などと、最初からあきらめてしまっているのかもしれません。いずれにせよ、男性の育休取得が進まないことがひいては日本の低出生率に繋がっていることから、今回の制度改正により、会社から社員に対して育休取得の意向を個別に確認することが義務付けられました。
また、意向を確認する前段階として、制度の内容や申出先などの事項を社員に周知する必要がありますが、この周知についても意向確認と同様、社員へ個別に行わなければなりません。つまり「就業規則に規定だけして終わり」ではなく、該当者へ確実に情報が届くよう、個別に説明しなければいけないということです。
個別の周知、意向確認の方法は(1)面談(オンラインも可)、(2)書面交付、(3)FAX、(4)電子メール等のいずれかで行えばよいとされています。ただし、「まさか、育休を取得しないよね?」、「私の時代にはこんな制度はなかったし、それでも子育てはできたよ」などと取得を控えさせるような形で周知、確認を行ってはいけません。法の趣旨に反するだけでなく、育休に関するハラスメントに該当する恐れがありますので、特に現場の管理職には研修などを通じて正しく理解させておく必要があります。
上記の他、4月改正では「有期契約社員の育児・介護休業取得要件の緩和」もあります。従来、有期契約社員は入社1年以上であることが取得の要件でしたが、この要件がなくなりました。ただし、労使協定を締結することで、改正後も入社1年未満の者を取得対象から除外することが可能です。
今回の4月と10月の育児・介護休業法改正とは、会社として「仕事の生産性をどうやって高めるか」、根本から取り組むチャンスであり、まさに発想の転換的取り組みが求められるものだと考えます。組織として多様な働き方を許容できるようになれば確実に収益力強化へと繋がりますので、前向きに、積極的に取り組んでいきましょう。
チーフコンサルタント 高橋 智之