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「中途採用者の給与を低いままにしていませんか」

 中途採用者は一人ひとり年齢や経験も異なり、前職の年収も考慮することが多いので、給与額がバラバラになりがちです。そこで、多くの会社では中途採用者の給与をめぐって次のような問題が起こります。
(1)中途採用者の給与が既存社員より高いために社内で不満が生じる
(2)中途採用者の給与が採用時の低い水準のままである
 (1)については経営者も良く注意していて、自社の標準的な給与に調整手当を上乗せして採用し、入社後の評価が当初の期待値より低ければ手当を逓減させていく等、何らかの対応をされていると思います。
 一方で、問題が長年放置されやすいのが後者の(2)です。
 近年、職種・業界によっては賃金相場が高騰しており、低い給料では応募者に見向きもされないという状況もありますが、中途採用者の給与が新卒採用のプロパー社員に比べて低いという会社もまだ多いのではないでしょうか。
 ある程度の年齢に達している応募者であっても、その仕事の未経験者であれば既存社員と同じ給与を出すわけにはいきませんし、他社で十分な実績がある経験者であっても、一度、高い給与で採用すると、入社後に期待外れであったことが分かっても簡単に金額を下げられませんから、まずは低めに採用したいと思うのは経営者として自然なことです。
 ただし、一定以上の社会人基礎力を備えている中途採用者であれば、未経験者で採用したとしても、3~5年もすれば既存社員と変わらない程度まで成長してくるでしょう。他社での実績がわが社で通用するかに不安があったので少し低めの給与で採用したが、入社後にその実力が証明されたという社員もいるはずです。
 その実力を期待して採用したはずの中途採用者の給与が、いつまでも既存社員より低いままというのは大きな問題です。何年たっても納得のいかない報酬しか支払われないのだと分かれば、将来への希望を失い、最悪の場合は退職にまで発展するかもしれません。せっかく能力ある人材を採用できたとしても、その実力が発揮できる就労環境を会社が用意できなければ、会社にとっても大きな損失となって跳ね返ってくるのです。
 そこで、既存社員とのバランス等から給与を低めに抑えて採用した場合には、入社後の評価に応じた特別昇給を行い、他の社員に見劣りしない水準まで給与を引き上げていく必要があります。
 例えば、号棒制の賃金テーブルを使用し、SABCDの5段階で評価をしている場合には、次のような方法で特別加算を行って、入社後3~5年で本来あるべき水準まで給与を段階的に引き上げていく措置を取ります。
 評価 制度上の昇給  特別昇給  昇給合計
 S    6号   + 3号    9号
 A    5号   + 2号    7号
 B    4号   + 1号    5号
 ただし、評価の低いC、Dの社員については特別昇給の必要はありません。また、既存社員よりも極端に低い金額で採用したような場合には、上記の方法では調整に時間がかかり過ぎるため、入社2~3年後を目途に抜本的に給与水準を見直した方が良いでしょう。
 給与が高すぎる社員はよく目立つこともあって問題がそのまま放置されることは少ないのですが、給与が本人の実力に比べて低すぎる場合には対応が遅れがちです。毎年の定期昇給時にしっかり確認をして意識的に是正することが大切です。
所員

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