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「成績評価の実施に向けた評価者の心構え」

 今年のGWは暦の関係で、製造業を中心に10連休とされる会社も多いようですね。そして、このGWが終わると夏季賞与に向けた成績評価実施の時期に入ります。
 
 成績評価の実施時期は会社によっても異なりますが、多くの中小企業では、5月及び11月の賃金計算期間を区切りとして、6カ月ごとの評価対象期間を設定されています。出勤率の算定の面でも便宜であることに加え、賞与支給日に近いタイミングで評価を実施することで、評価結果とそれを反映した賞与支給額が一体的に捉えられ、社員のモチベーションアップに繋がりやすいというメリットもあります。
 
 夏季賞与の支給日は、7月初旬から中旬の金曜日に集中します。6月の賃金計算の締日では、賞与支給日までに評価のとりまとめと賞与計算を済ませることができませんので、自ずと5月の賃金計算締日を基準にして、半年ごとに区切ることになります。
 
 なお、大手企業では、多くの会社が事業年度に合わせて目標管理制度(MBO)等を用いた方針管理をしていることから、事業年度(上期・下期)に合わせて評価する会社が多数派を占めます。3月決算の会社なら、4月~9月、10月~翌年3月で評価対象期間を区切ることになります。(中小企業でも、目標管理制度を運用されている会社は同様です。)
 
 この場合、評価自体は3月下旬もしくは4月上旬に行われます。評価対象期間が終わってから4月に評価を行なうのか、評価対象期間終了前の3月中に実績見込で評価するのかは、会社の考え方にもよりますが、3月中に評価を実施して評語決定まで済ませてしまう会社が多いようです。3月中旬以降であれば最終実績が読めていますので、年度内に人事評価をし、評価のフィードバック、来期の目標設定面接までを終えることは可能です。そうすることで、新年度の初日より新しい目標に向かってスタートが切れることになります。
 
 さて、評価者が実際に評価を実施する場面では、過去の評価対象期間での出来事を引きずらないように意識することが大切です。というのは、人は誰でも、良いことも悪いことも、大きな出来事ほど心中深く刻み込まれ、そのイメージを引きずる傾向があるからです。
 
 例えば、「入社後間もない若手社員Aが大口の注文をとってきた」、「受注後のフォローが不十分だったため営業担当Bは顧客の倒産を察知できなかった」などインパクトの強い出来事があった時、「A君は優秀社員」「B君はまだまだ実力不足」など、たった一度の出来事がその社員の印象(広義の評価)を決めてしまうということは、案外よくあるのです。
 
 でも実際の発揮能力は、その時々で大きく変わります。職務遂行にかかる個々の基本的な能力が、短期間で劇的に変わることは少ないかも知れませんが、目に見えるパフォーマンスは思いのほか大きく変化します。やや消極的な印象で口数の少ない社員が、休眠大口顧客の掘り起こしに成功したり、常にトップ組に位置付けられる営業員が急にスランプに陥ったり。そうしたことは、それなりの頻度で起こります。だからこそ、評価対象期間ごとに気持ちを新たに切り替え、先入観を捨てて評価することが重要なのです。仕事の上で発揮される能力は、その都度変化します。評価者は、部下にレッテルを貼ることなく、常に冷静かつ新鮮な気持ちで評価に臨むようにしていただきたいと思います。 
所長 大槻 幸雄

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