03-3953-6761

「評価における仕事の成果とは」

 成果というと営業成績などの業績指標や個人目標の達成度だけに注目が集まりがちですが、評価における仕事の成果とは、社員が仕事を通して会社に提供するすべての価値であると捉えるべきです。
 例えば、会社が価値あると考えるのは次のようなものです。
 (1)定められたことを手早く、正確に行う
 (2)定められたこと以上の価値を生み出す
 (3)会社や職場の抱える課題や問題を解決する
 (4)新しいことを生み出す
 (5)組織の生産性を高める
 給与計算の担当者であれば、次のような行動が成果として考えられるでしょう。
 (1)毎月の給与計算を間違いなく完了させる。
    仕事の中心となる大事な成果です。
 (2)同じ計算を繰り返すのではなく、手順を合理化してミスの発生率を
    最小にして仕事の質を上げていく。
 (3)無駄な残業や給与の不公平感などの問題に気付いて上司に報告・
    相談する
 (4)給与計算以外の仕事も覚えて職務の幅を広げる。
 (5)周りに積極的に感謝の気持ちを伝えて、職場を前向きな雰囲気に
    したり、入手した情報やノウハウを他の社員と共有して組織として
    能率的に動けるようにしたりする。
 数字や業績だけが成果ではなく、日々の仕事への取り組み全体が成果であり、評価の対象となるわけですから、評価の項目もこれらを踏まえた内容であることが重要です。
 そこで、賃金管理研究所では仕事を的確に進めるためのプロセスも含めて「服務 / 受命・段取 / 就業活動 / 業務能率 / 成果」の5つの要素を非管理職の評価項目としています。
 これは担当部門の収益責任を問われる管理職であっても同じです。会社から課された業績目標や課題の達成は重要な成果の一つではありますが、管理職には次のような役割と成果も期待されており、これらも評価すべき要素として評価シートに盛り込んでおくことが不可欠です。
 (1)この組織で何を目指すのかという、はっきりした青写真(=ビジョン)
    を示して、その方向に部下を動機付ける
 (2)人材育成に努めて、部下のレベルを上げ続ける
 管理職が明確なビジョンを示すことで、
 「このリーダーに付いて行けば、このような未来が実現できる」
 「そのためには今、目の前のこの仕事をやる必要がある」
と部下は仕事への意義とやりがいを見出すことができます。働きがいを感じられる職場を作ることは生産性を向上させ、組織として高い業績をあげることに繋がりますから、職場マネジメントの品質を確認する着眼点は必須です。
 また、変化の時代を生き抜き、長く続いていく会社となるためには、目先の収益だけにとらわれずに、社員の教育や人材育成にも常に力を注ぐ必要があります。こうした人材育成の取り組みとその結果を評価する着眼点が管理職の評価シートの中に盛り込まれているからこそ、継続的に組織力を高めていく体制を実現することができるのです。
 業績指標や個人目標の達成度など数値化しやすい項目だけで、社員が生み出した価値を正しく把握することはできません。納得感のある評価制度とするには、仕事の成果を広い視点で捉えることが欠かせないのです。
所員

 < ブログの紹介>