皆さんの会社にも、この4月から新入社員が入社されることでしょう。ところで、最近の新入社員は、会社や上司、仕事に対してどのような考えや思いを持っているのでしょうか。
一般社団法人日本能率協会「2023年度新入社員意識調査」によると、「あなたが理想的だと思うのはどのような上司や先輩ですか」という設問に対し、次の3つが上位の回答でした(複数回答可)。
1位:仕事について丁寧な指導をする上司・先輩(79.0%)
2位:言動が一致している上司・先輩(53.2%)
3位:部下の意見・要望を傾聴する上司・先輩(47.3%)
「仕事について丁寧な指導をする」とはどういうことかを考えたとき、「新入社員につきっきりで、手取り足取りできるまで教える」様子を思い浮かべた方もいらっしゃるかもしれません。たしかに、そこまでできればベストかもしれませんが、こと中小企業においては、指導する側がそこまで対応しきれないというのが実情でしょう。
また、仕事をしていく上での不安についての設問では、「上司・同僚など職場の人とうまくやっていけるか」、「仕事に対する現在の自分の能力・スキル」、「仕事での失敗やミス」がトップ3に入っており、人間関係への不安に加え、自分自身を起因とする失敗やミスへ恐怖感を抱いていることが分かります。
さらに仕事をする中で抵抗がある業務を尋ねたところ、「上司や先輩からの指示があいまいでも、質問しないでとりあえず作業を進めること」に対し8割以上の新入社員が抵抗ありと回答しています。コストパフォーマンスやタイムパフォーマンスを重視する世代ですので、「あいまいなまま仕事を進めて失敗したくない」、「ムダな時間や労力はかけたくない」、だから「丁寧に教えてほしい」という考えに帰結するのも道理です。
では、時間的・人的制約がある中で、どうしたら効果的に指導が行えるのでしょうか。
実は、もう1年前(2022年度)の同調査の結果にヒントがありました。意欲や能力を高めるための上司や人事への期待として、「成長や力量に対する定期的なフィードバック」が6割以上の回答を集めています。つまり、「仕事を通じて成長を感じたいので、教えたら教えっぱなしではなく、定期的に自分の仕事ぶりに対する評価をフィードバックしてほしい」ということです。マンツーマンでみっちり指導することに比べたら、機を見てフィードバックを行うことの方が、管理職や指導者にとっても負担は少ないのではないでしょうか。
フィードバックを求める想いは何も新入社員に限ったものではなく、あらゆる世代の社員に共通するものです。したがって、「今の若い人たちは…」と変に考えすぎず、先輩社員たちよりほんの少し丁寧に接することを意識するだけでも、会社や上司、先輩社員と新入社員の関係性や距離感は変わってくるはずです。
新入社員を迎える4月を前に、あらためて心に 留めていただけたらと思います。
チーフコンサルタント 髙橋 智之