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「評価者エラーに陥らないよう注意しましょう」

 そろそろ年末賞与の評価を行う会社も多いことでしょう。中でも、今年度、新たに管理職(評価者)となった方にとっては、初めて評価対象期間の始めから終わりまで部下の仕事ぶりを見て行うことから、完全に独り立ちした初の評価と言えるかもしれません。
 ところで、このような初々しい評価者に限らず、ベテランの評価者であっても「評価者が陥りやすい誤り(評価エラー)」が存在します。
<代表的な7つの評価エラー>
(1)ハロー効果
 被評価者のある一つの側面が非常に良い(悪い)時に、そのことに惑わされて、他のことも良い(悪い)と判断してしまうこと。
 例えば、売上・利益の目標予算を毎期達成する部下に対し、「仕事ぶりはいつも見事で、全く非の打ち所がない」と思い込み、あらゆる評価項目で高い評価をつけるようなケースです。ハロー効果は評価者が最も陥りやすい誤りとも言われますが、当社が推奨する成績評価制度では、評価項目(着眼点)ごとに被評価者を相対比較して採点することで、その発生を抑制します。
(2)中心化傾向
 「良い」「普通」「悪い」や、5点~1点、14点~6点などの段階評価を行う時、評価が中心部に集まってしまうこと。 
 評価者が結果をはっきりと出すことをためらったり、評価することに自信がなかったりすると、無難な採点に留めようとする意識から中心化傾向が生じやすくなります。
(3)直近効果
 評価する期間が半年や1年といった長期間であるにもかかわらず、評価直前の被評価者の行動や業績が評価結果に反映されてしまうこと。
 評価する情報が少ない場合や、とりわけ印象的な出来事が期末近くで生じた場合などに起こりやすいエラーです。
(4)対比誤差
 評価者が、自分とは異なるタイプの被評価者を過大または過小に評価してしまうこと。
 例えば、何事にも丁寧な仕事をする上司が、そうではない部下をとてもルーズだと評価してしまうケースなどです。
(5)厳格化傾向
 対比誤差の一つで、評価者が自分の専門分野に関する項目に関して被評価者を評価する際、自分のレベルを基準に比較してしまい、被評価者に辛い評価をつけてしまうこと。
(6)寛大化傾向
 これも対比誤差の一つで、評価者が自分の専門でない分野の項目について、よく理解できないため被評価者に甘い評価をしてしまうこと。
(7)論理的誤り
 関連のありそうな評価項目について、同一あるいは類似の評価をしてしまうこと。
 例えば、「仕事を手早く処理する部下は、あらゆる仕事に対して積極的に取り組んでいる」などと、「処理スピードが早い」ことと「積極性がある」ことに論理的に直接関係がないにもかかわらず、両者を関連づけて評価してしまうことがあります。
 これらの評価エラーが起きてしまう大きな要因に「部下に対する観察不足」があります。自信を持って評価を行うためには、判断材料となる情報(ネタ)を一つでも多く集める必要があります。
 日々、観察記録を残せていればベストですが、記録がない場合でも評価の直前になって記憶をさかのぼるのは大変ですので、時間の余裕があるうちに情報を整理しておくことをお勧めします。
チーフコンサルタント 髙橋 智之

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