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「賞与の個別支給額決定方法を考える(その2)」

 前回のコラムでは、賞与の個別支給額について、次の計算式で求めることをお勧めしました。

 

「個別支給額=(基本給比例分+成績比例分)×出勤係数」

 

 この支給方法を採用した場合、3つのメリットがあります。

 

 1.賞与総原資が予算よりも大きく増えることなく、安定した運用ができる

 2.算定基礎額の大小によらず、等級と成績評語に応じたメリハリある個別支給ができる

 3.ベースアップ等で算定基礎額が増えてもただちに賞与支給額に影響しない

 

 実際の計算は6つのステップからなりますが、今回は具体例をもとに個別支給額を計算してみます。

 

<事例>

 A社(従業員100名、平均基本給額25万円/人)は、今期賞与の総原資を5,000万円(基本給総額2ヵ月分)と決定した。

 

【手順1】賞与総原資の配分を決める

 

 賞与総原資を、基本給比例分と成績比例分に分けます。このとき、基本給比例分の割合をあまり大きくしてしまうと、基本給の大小が個別支給額にも影響しやすくなります。そのため、基本給比例分の割合は最大でも50%までとするよう、当社では推奨しています。

 

 ここでは、基本給比例分50%、成績比例分50%(各2,500万円=基本給総額1ヵ月分)に決定したものとします。

 

【手順2】基本給比例分の個別支給額を計算する

 

 手順1で基本給比例分の原資が1ヵ月分と決まりましたので、個別支給額についても「各自の基本給額×1ヵ月分」で計算します。

 

(例)

2等級:山田さん(26歳)基本給25万円 …基本給25万円×1ヵ月=25万円

3等級:高橋さん(33歳)基本給28万円 …基本給28万円×1ヵ月=28万円

 

【手順3】「等級別・成績評語別配分点数表」に全社員の成績評語をあてはめ、総合計点数を求める

 

    等級別・成績評語別配分点数表(標準型)

 2等級 山田さんが評語Aだった場合は170点、3等級 高橋さんが評語Cだった場合は130点というように、全社員に対して等級と成績評語に応じた配分点数を割り当て、配分点数の合計を求めます。

 

 ここでは、100名の合計点数が20,000点になったとします。

 

【手順4】1点単価を計算する

 

 成績比例分の総原資2,500万円を全社員の配分点数合計20,000点で除すことにより、1点あたりの単価が計算できます。  

 2,500万円÷20,000点=1点単価 1,250円

 

【手順5】成績比例分の個別支給額を計算する

 

 各自に割り当てられた配分点数に1点単価を乗ずることで、成績比例分の個別支給額を計算します。

 

(例)2等級:山田さん(26歳) 評語A 170点×1,250円=212,500円

   3等級:高橋さん(33歳) 評語C 130点×1,250円=162,500円

 

【手順6】個別支給額に出勤係数を乗じて、最終的な個別支給額を計算する

 

 ここまでのところで、基礎となる個別支給額が計算できます。

 

(例)

2等級:山田さん(26歳)

    基本給比例分250,000円+成績比例分212,500円=462,500円

3等級:高橋さん(33歳)

    基本給比例分280,000円+成績比例分162,500円=442,500円

 

 賞与の算定期間中に遅刻や無断欠勤、休職などがあった場合は、基礎となる個別賞与支給額に出勤係数を乗じ、最終的な個別支給額を計算します。

 

 出勤係数=賞与算定期間中の(所定労働日数-欠勤日数)÷所定労働日数

 

 以上の手順で個別支給額を計算しますが、この方法であれば賞与額に対して基本給の影響を極力抑えることができます。特に、成績比例分は年齢や勤続年数といった年功的な要素を一切含まず、等級と成績評語のみで計算しますので、公平で真の実力主義による支給方法として、社員の納得感も高まると考えます。

 

 しかし、計算方法が社員に公開されていなければ、せっかくの合理的な支給も意味をなさなくなってしまいます。利益還元策として効果的な賞与支給とするためにも、社員が正しく理解できるよう、給与規程や人事制度ガイドブック等で明示していただきたいと思います。

 

チーフコンサルタント 髙橋 智之