新しい年の始まりにあたり、今回は人事制度における大きな転換点、「考課から評価へ」というテーマでお話ししたいと思います。
これまで多くの企業で使われてきた「人事考課」とは、社員の能力や適性を測定し、点数で評価する仕組みでした。たとえば「積極性」「責任感」「協調性」などの項目に点をつける方法は、今も中小企業ではよく見られます。しかしこのやり方では、評価が固定化されやすく、「できる人はいつも高得点」「そうでない人はいつも低得点」となりがちです。
一方で、「評価」は本来、そうした査定とは異なる意味を持っています。評価とは、仕事の中身を見つめ、成果や行動を確認し、次の成長につなげるためのプロセスです。つまり、能力を直接引き上げようとするのではなく、仕事を通じてその質を高めていく中で、結果として能力も備わっていく。それこそが、人を育てるということの本質なのではないかと、私たちは考えています。
私たち賃金管理研究所では、創立以来「責任等級制度」という考え方を大切にしてきました。これは、社員に任される仕事の質 ―職責の大きさや裁量の度合い― を基準に等級を定める制度です。中小企業にとっては、社員一人ひとりの成長が企業の力に直結します。だからこそ、管理職が「評価者」として、部下の業務行動に目を向け、具体的な指導や支援を行うことが、組織全体の力を高める鍵となるのです。
「評価」は、社員を育て、組織を育てるための道しるべでもあります。そして効果的な評価を実現するには、評価実施の要となる管理職自身が「育てる力」を備えていなければなりません。 まずは経営サイドがその重要性をしっかりと認識し、管理職の育成に取り組むことが、「育てる会社」への第一歩となるのではないでしょうか。
2026年が、皆さまの会社にとってその一歩を踏み出す年となることを願っております。
所長 大槻 幸雄