前回のコラムでもお話ししましたとおり、労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間であり、使用者の明示または黙示の指示により、労働者が業務に従事する時間は労働時間にあたります。
前回のコラムはこちら
コラム「あらためて労働時間について確認しましょう」
https://www.chingin.jp/20260615/
労働時間を式で表すと、次のようになります。
労働時間=拘束時間-休憩時間
=(実労働時間+手待ち時間)-休憩時間
労働時間の状況を把握する方法としては、「使用者が自ら現認して記録する」、「タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録など客観的な記録を基礎として記録する」などがあります。
ところで、日々の実務においては「労働時間に該当するか否か」の判断に迷う場面があるでしょう。よくご質問を受ける代表的な例を挙げてみます。
(1)通勤や移動、出張の時間
イ:通勤時間
《原則》労働時間とならない
《例外》使用者の指示により一定の場所へ集合し、その場所に到着した
時点から管理監督者の指揮命令下に置かれており、目的地までの
移動中も打合せや準備作業等が行われるような場合。
ロ:客先間の移動時間
《原則》労働時間となる
《例外》移動時間の自由利用が可能である等、特段の事情がある場合
ハ:出張に要する移動時間(出張の行き帰り時間)
《原則》労働時間とならない
《例外》移動中、物品の運搬業務に従事するなど、業務性がある場合
(2)始業時刻前の朝礼や準備作業、終業時刻後の後片付けの時間
イ:朝礼への参加が義務付けられている(=明示の指示がある)場合や、
参加しなかった場合に遅刻として扱われる、人事評価でマイナス評価
される(≒黙示の指示がある)などの場合
⇒ 労働時間となる
※準備作業や後片付けについても、使用者から明示または黙示の指示
がある場合は労働時間となる
ロ:準備作業や後片付けを行うかどうかは、労働者の自由である場合
⇒ 使用者の明示または黙示の指示がないので労働時間とならない
(3)休憩時間中の電話番や来客対応
・使用者の指揮命令下にあり、いつでも作業できるよう待機している
状態(手待ち時間)
⇒ 労働時間となる
(4)研修や教育訓練の時間
イ:研修や教育訓練の内容が、業務内容そのものであって参加が義務付
けられているものや業務遂行に必要不可欠なもの、また、義務付け
られていなくても不参加だった場合に人事評価でマイナス評価され
るなどの場合
⇒ 労働時間となる
ロ:研修や教育訓練の内容が業務内容と密接に関連しておらず(いわゆ
る自己研鑽)、指示命令のない自由参加である場合
⇒ 労働時間とならない
(5)自宅に持ち帰った仕事の作業時間(いわゆる風呂敷残業)
《原則》労働時間とならない
《例外》持ち帰って作業することについて、使用者が承知していなが
ら黙認している場合などは、労働時間となる可能性がある。
この他にも様々なケースがありますが、冒頭で述べたように、判断基準は「使用者の指揮命令下に置かれているかどうか」です。働き方や働く人も多様化していますので、就労形態・就業時間が複雑化している会社も多いと思います。今一度、自社の労働時間管理について確認しておきましょう。